講師派遣について
ーいろいろなクラブには、ぜひ講師派遣を使って欲しいと思うのですが、2時間という時間設定は少し短く思う部分も。
<田島さん>そう、由衣にも聞きたいと思っていて、講師派遣の初回って正直かなり難しくて、1回はスカウティングというか、どんな練習をしているか見ておかないと想像が出来ないとも思う。選手層やこういう特徴の選手がいるっていうのがわからないと、クオリティの高いものが提供できない気もしている。
<髙橋さん>私は事前に、当日の参加者の年齢とレベルと、あとはチームが思ってる課題を聞いていて、練習の前にも打ち合わせを済ましています。
あとは最初の1つ2つの練習を見て、メインとなる指導を決めている形にしていて、練習1つ見ればレベルはすぐ把握できるから、この流れを確立してからは、事前の確認は必ずしも必要じゃないかなと思ってます。
<田島さん>シングルの練習を見ればわかるか。
<髙橋さん>そう、やろうと思ってることはたくさん考えておいて、1個目の練習見て、これとこれを重点的に行おうかなと考えてます。
<田島さん>でも、その練習のチョイスをすることで参加者の技術レベルは上がるけど、より試合にコミットした上達という意味では1回では厳しいんじゃないかな。
<髙橋さん>1回では難しいですね。だから、次もまたお願いしたいという声も頂いているし、あるクラブでは合宿に来てほしいとお願いもされています。
<田島さん>あ、合宿はいいね!本当なら何かリーグ戦とかの初戦に向けて作っていきたいよね。もし2チームで予算あるなら、自分と由衣とで1チームずつ見て。合同練習しながら、チームごとの方向性に向けた練習はそれぞれでやって。
<髙橋さん>やっぱり2時間の講習だけだと、今までやってた練習や自分の動きが間違いだったんだっていう気づきに行けるぐらいまでなので、そこから更に深い話っていうところでは時間は足りない。複数回呼んでもらうか、それこそ合宿がいいなとは思っていますね。
<田島さん>でも日本の合宿だから、練習時間が1時間とかに2時間でおさまらないで、一日やらされるんでしょ?
<髙橋さん>いや、そこは集中力とクオリティに関わってくるから、例えば、体育館の練習は午前は2時間まで、午後は3時間までなどと、T3で全体のプログラムも決められたらいいですね。
今回、仙台MAXでよかったのは、午後の時間を、質問回・講演会にしたんだけど、質問を事前に参加者の人に考えてきてもらっていて、全部を黒板に書いてもらってそれに応えていく形式で、色々なことが伝えられました。
合宿でも同じように、質疑応答の時間も組み込めたらいいなと思いましたし、今年は難しいかもしれないけど、T3で合宿アレンジしてみたいですね。
今後はどのような企画を行いたい?
ー沢山のお話をありがとうございます。最後になりますが、将来的な目線で考えている活動はありますか?
<髙橋さん>合宿もそうだしいっぱいありすぎるなぁ…笑。3on3を企画するとか。
<田島さん>廃校も欲しい!
<髙橋さん>女子だけの練習を開催して感じたのは、参加している人たちの楽しんでる感じが全く違うんですよね!次は男子だけの練習会を、20人以上いる環境で開催してみたいですね。
スウェーデンの練習だと必ず、20人のフィールドプレーヤーと、キーパー2人っていうのが揃っているんですね。その練習人数にするために、クラブ内にチームが複数あったとしたら、どんどん下のレベルのチームから選手を吸い上げていって、上のチームをまず20+2人にする。吸い上げられたチームも20+2人にするために、今度はジュニアから吸い上げて人数を揃えるみたいな。
海外では、そういう練習に向けた調整も行っているから、日本でも男女分けつつ、人数がちゃんと揃ってるフロアボールの練習会がしたいなって思っています。
<田島さん>似たことで思うのは、練習レベルの技術分けをT3が行ってあげたいと思うんですよね。
自分たちが練習していたときもそうで、適当に技術で分けるから、上手いのかどうかがわからないんだよね。だから外部の、それこそT3が、この人は技術が上手いからこのカテゴリっていうのを分けて。
由衣が言った海外のカテゴリ分けに似た形で、グループ分けしたいなっていうのは少し思ってます。
<髙橋さん>それにプラスして、戦術が入ってくるといいですね。技術がある程度の水準であるのに加えて、戦術に対して理解があるかどうかがポイントというか。
ポイントを多く取れる選手が上のカテゴリになるわけじゃなく、例えば日本代表で今3セット目の選手がいるとして、技術レベルは3セット目の水準でも、戦術の理解度がものすごく高かったらその選手が1セット目になることも全然あり得るっていうのが戦術の面白さで。
<田島さん>うん。それはサッカーでも色々なスポーツでそうだと思うんだけど、選手個人の個性や技術を見極めてあげて、戦術があれば理想だし、なくても技術分けしてあげるっていうのがその子の自信にも繋がると個人的には思っていて。
<髙橋さん>適材適所じゃないけど、仮に技術がなくても体がすごく強くて、自分たちのコーナーで1対1になったときに必ずボールが取れたり、その取れたボールをちょっと前に進めることができるのであれば、シュートが上手くなくとも1セット目に入れる場合もあって、そこが戦術の面白さだと思うんですよね。
今の日本はまだ、『戦術があって面白い』っていうところまで達してないけど、逆にその楽しさを1回味わうと、フロアボールって本当に奥が深いしもっともっと楽しくなる。その楽しさを多くの人に伝えたいよね。
正直私自身も、その戦術を自分が理解して、コート上で表現できるようになるのは、1日や2日じゃなくて、週5・6でトレーニングしてても3年かかってるから長期スパンにはなるんだけれど、本当にめちゃくちゃ面白い。
私も代表活動を長くやってきたけど、せっかく時間とお金と労力をかけて代表活動をしているのだから、戦術があってそれに向けて積み上げていく練習が理想。プランが無いまま練習し世界大会に行っても、ほとんど何も得ないまま遠征が終わってしまい、フロアボールの本当の面白さまで辿り着けないと思う。
それでも、前回の女子WFC2019年では、エストニアに勝利したり、ノルウェーには1対2と善戦したりと、工夫して練習していけばここまで戦えるんだっていう経験を代表選手は感じられているはずだから、同じようなフロアボールの楽しさを、T3としても皆に伝えていきたいなって思いますね。
(取材:2023年8月)
■今回のインタビューご協力者様は…
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