はじめに
先日、日本選手権男子のシュート関連統計を作成しましたが、せっかくなら女子も作るべきという声に従いデータを整理してみました。
全体像
全体として、どれぐらいのシュート数なのか
試合数 | シュート 総数 | ゴール | シュート 成功率 |
---|---|---|---|
6 | 452 | 44 | 9.7% |
1試合平均 (チーム平均) | 75.3 (37.6) | 7.3 (3.6) |
シュートを打つと、その結果は?
結果 | 本数 | 割合 |
---|---|---|
ゴール | 44 | 9.7% |
セーブ | 120 | 26.5% |
ポスト直撃 | 3 | 0.7% |
ブロックされる | 150 | 33.2% |
ミスショット | 135 | 29.9% |
計 | 452 | 100.0% |
GKセーブ率 (全選手平均) | 73.1% |
チームごとのシュート数や成功率
チーム名 | 試合数 | シュート 総数 | ゴール数 | シュート 成功率 |
---|---|---|---|---|
東京FBC | 2 | 96 | 10 | 10.4% |
WARABI | 2 | 113 | 13 | 11.5% |
神奈川FBC | 2 | 79 | 11 | 13.9% |
駿河台大学 | 2 | 94 | 4 | 4.3% |
八王子FBC | 1 | 28 | 3 | 10.7% |
調布FBC | 1 | 25 | 3 | 12.0% |
山形FBC | 1 | 11 | 0 | 0.0% |
仙台大学 | 1 | 6 | 0 | 0.0% |
計 | 452 | 44 | 9.7% |
これまで行われた6試合、8チームによるシュート関連統計です。シュート総数452本に対し生まれたゴール数は44ゴール。
全体でのシュート成功率は9.7%で、1試合平均7.3ゴール(1チーム3.6ゴール)/75.3シュート(37.6シュート)となり、男女差はほとんどありませんでした。
エリア別統計
どのエリアからのゴールが決まったか
全チーム計 | シュート 総数 | ゴール 数 | ゴール 成功率 | ゴール 分布 |
---|---|---|---|---|
1.左ゴール前 | 27 | 11 | 41% | 25% |
2.右ゴール前 | 32 | 10 | 31% | 23% |
3.左スロット | 49 | 5 | 10% | 11% |
4.右スロット | 51 | 8 | 16% | 18% |
5.左コーナー | 26 | 0 | 0% | 0% |
6.右コーナー | 19 | 2 | 11% | 5% |
7.左ポケット | 33 | 3 | 9% | 7% |
8.右ポケット | 59 | 0 | 0% | 0% |
9.左レーン | 12 | 0 | 0% | 0% |
10.右レーン | 18 | 0 | 0% | 0% |
11.左センター | 65 | 3 | 5% | 7% |
12.右センター | 61 | 2 | 3% | 5% |
計 | 452 | 44 | 9.7% | 100% |
シュートを打つエリアでの結果の違い
エリア | シュート 総数 | ゴール 数 | セーブ | ポスト | ブロ ック | ミス | ゴール 到達 | ゴール 未達 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.左ゴール前 | 27 | 11 (41%) | 10 (37%) | 0 | 1 (4%) | 5 (18%) | 78% | 22% |
2.右ゴール前 | 32 | 10 (31%) | 15 (47%) | 0 | 2 (6%) | 5 (16%) | 78% | 22% |
3.左スロット | 49 | 5 (10%) | 16 (33%) | 0 | 16 (33%) | 12 (24%) | 43% | 57% |
4.右スロット | 51 | 8 (16%) | 8 (16%) | 1 (2%) | 14 (27%) | 20 (39%) | 34% | 66% |
5.左コーナー | 26 | 0 | 9 (34%) | 1 (4%) | 9 (35%) | 7 (27%) | 38% | 62% |
6.右コーナー | 19 | 2 (10%) | 4 (21%) | 0 | 7 (37%) | 6 (32%) | 31% | 69% |
7.左ポケット | 33 | 3 (9%) | 6 (18%) | 0 | 14 (43%) | 10 (30%) | 27% | 73% |
8.右ポケット | 59 | 0 | 17 (29%) | 1 (2%) | 20 (34%) | 21 (35%) | 31% | 69% |
9.左レーン | 12 | 0 | 3 (25%) | 0 | 7 (58%) | 2 (17%) | 25% | 75% |
10.右レーン | 18 | 0 | 5 (28%) | 0 | 8 (44%) | 5 (28%) | 28% | 72% |
11.左センター | 65 | 3 (5%) | 12 (19%) | 0 | 27 (41%) | 23 (35%) | 24% | 76% |
12.右センター | 61 | 2 (3%) | 15 (25%) | 0 | 25 (41%) | 19 (31%) | 28% | 72% |
計 | 452 | (9.7%) | 44(26.5%) | 120(0.7%) | 3(33.2%) | 150(29.9%) | 135(37%) | ( | 63%)
各エリア毎に放たれたシュート数と、生まれたゴールの分布です。
危険エリアと呼ばれるスロットでのゴール発生割合は全体の77.2%となり、IFFHPに掲載の統計数値64%や、日本選手権男子数値61.7%を大幅に上回る結果となりました。その他の細かい数値に関しては、男子統計とほぼ変わらない傾向です。
個人の感覚として、男女共通してポケット付近からのシュートは、試行回数に対してゴール成功率がとても少ないです。
味方からのボールを受けるため壁ギリギリに位置することはよくありますが、その位置からシュートを狙うには、容易にキャッチ・ブロックされたり、枠外にボールが飛ぶケースが多く見られます。シュートを狙うなら、あと3-4歩スロットやゴール方面に近づく工夫は必要かと思います。
シュート種別によるデータ
どのシュートがゴールを決めやすいか
シュート種 | シュート数 | ゴール | セーブ | ブロック | ミス | ポスト | ゴール (%) | セーブ (%) | ブロック (%) | ミス (%) | ポスト (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リスト | 162 | 15 | 45 | 49 | 52 | 1 | 9% | 28% | 30% | 32% | 1% |
ドラッグ | 214 | 12 | 52 | 88 | 60 | 2 | 6% | 24% | 41% | 28% | 1% |
スラップ | 19 | 2 | 6 | 5 | 6 | 0 | 11% | 32% | 26% | 32% | 0% |
ボレー | 23 | 2 | 6 | 4 | 11 | 0 | 9% | 26% | 17% | 48% | 0% |
OG | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | / | / | / | / |
リバウンド | 21 | 6 | 9 | 2 | 4 | 0 | 29% | 43% | 10% | 19% | 0% |
流し込む | 10 | 6 | 2 | 0 | 2 | 0 | 60% | 20% | 0% | 20% | 0% |
裏から 巻き込む | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 33% | 0% | 67% | 0% | 0% |
ゾロ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | – | – | – | – | – |
PS | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | – | – | – | – | – |
計 | 452 | 44 | 120 | 150 | 135 | 3 | 9.7% | 26.5% | 33.2% | 29.9% | 0.7% |
各エリアから放たれたシュートの行方に関する統計です。
シュート総数に関して男子統計と比較すると、男子466回、女子455回と試行回数に大きな差は生まれませんでしたが、シュート種別に関しては、女子はスラップシュートの試行回数が少ないように見えます。(男子78回に対し、女子19回)
ただ実際の集計でも、『これは何のシュート種だろう?』とよく悩みます。
シュートフォームが固まっていないシュートも多々ありますし、例えば、”LONG WRIST SHOT”とかいう概念もありそうでリストorドラッグの判断に悩んだり、ユニホッケーの打ち方はフロアボールでは何シュートと分類されるのか?と意外と悩んだりします。(※ちなみに、ユニホ打ちのはリストショットとして集計してますが、バックスイング時に少しでもスティックを上げ床を叩きながら放つ様子があればスラップに分類したりしてます。)
シュートを細分化しすぎると収集つかないので、基本のシュート3種をメイン項目にしてます。
トランジション
攻撃フェイズによるゴール数の違い
フェイズ | シュート数 | ゴール数 | シュート 成功率 | 分布 |
---|---|---|---|---|
セットオフェンス | 322 | 35 | 11% | 71% |
オフェンス トランジション | 96 | 8 | 8% | 21% |
セットプレイ | 34 | 1 | 3% | 8% |
452 | 44 | 9.7% | 100% |
フェイズの切り替わりに明確な定義はありませんが、海外の関連統計作成手法を見ていますと、オフェンストランジション起点のタイミングは”ボールを奪って確実なファーストタッチを行うこと”で、終了のタイミングは、 ”相手ディフェンスとセンターが定位置に戻り、両ウィングがセンターライン付近まで戻っていること”にしていたりします。
上記の表の見方は、オフェンストランジション→いわゆる速攻を試みて、シュート試行まで達成した回数と、そのシュートの成功率の表です。
前回男子統計時にも記載しましたが妥協の統計です。ボール奪取から速攻を試みた回数がチームごとに集計すると特色がありそうで面白そうなのですが(例えば、ボール奪取エリアと得点の関係や、速攻・遅攻の割合、ボールを失った原因、速攻試行/成功率とか)、再調査すると男女12試合、明日の決勝分まで映像を確認するなら、計16試合=16時間以上の作業工程が発生するので、どうしようか考えています。
ちなみに、現段階で男子統計と比較すると、オフェンストランジションでのシュート試行が少ないように見えます(女子96回に対して、男子164回)。理由をあげるとすれば、攻撃戦術が確立されていないこと(単身速攻)や、選手の人数が少なく戦略としてポゼッションを重視せざるをえない・人数を掛けられない、などが考えられます。
※参考 男子統計
フェイズ | シュート数 | ゴール数 | シュート 成功率 | 分布 |
---|---|---|---|---|
セットオフェンス | 240 | 30 | 13% | 64% |
オフェンス トランジション | 164 | 14 | 9% | 30% |
セットプレイ | 62 | 3 | 5% | 6% |
計 | 466 | 47 | 10.1% | 100% |
おわりに
素人集計となりますのでご了承下さい。
ユニホッケー出身の私として、遠い距離からのドラッグシュートやスラップシュートなどの『フロアボールらしいゴール』は本当にカッコよいと思っています。それらのいろいろな映像が、よく切り抜かれたりまとめられていますよね。印象にも残ります。
駿河台vs八王子戦の延長戦でも、勝敗を決めたのはセンターライン付近から放たれたシュートでした。
一方で、確率としてゴールを奪うことだけについて考えると、それらは味付けでの1つであって、基本はスロットでの攻防とトランジションでの確立されたフィニッシュパターンが最重要なんだろうと改めて感じています。
このあたり、各国の平均得点数などがわかったら面白そうですね。
明日の決勝ではどんなゴールが生まれるのか、楽しみにしています。
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