はじめに
現在開催されている日本選手権も第3日目までの日程を消化し、残すは最終日を残すのみとなりました。
何か面白いデータは取れないかと思い、シュートに関するデータを諸々取ってみた、という回です。
データの取り方
日本選手権男子の6試合を対象に、ゴールが生まれたエリアの総数、シュート試行エリアや、シュート種別の成功・ミスなどのデータを集計してみました。
本データの作成にあたっては、以前の記事中でも紹介した、こちらに触発されています。
WFC2016では、BestScoringAreaと表記がされているように、スロットからのゴール割合が全体の64%を占めておりますが、果たして日本ではどれぐらいの割合なのか。
あわせてゴールを放った回数/ゴール数等も集計し、どれぐらいの割合でシュートが成功するのか、なども調べてみました。
エリアの設定に関しては、上記画像を参考にざっくり以下の通りで統計上分類しています。
データ作成にあたっては、ReAliSe floorballさん撮影の試合動画を参考にさせていただきました。
全体像
全体として、どれぐらいのシュート数なのか
試合数 | シュート 総数 | ゴール | シュート 成功率 |
---|---|---|---|
6 | 466 | 47 | 10.1% |
1試合平均 (チーム平均) | 77.6 (38.8) | 7.8 (3.9) |
シュートを打つと、その結果は?
結果 | 本数 | 割合 |
---|---|---|
ゴール | 47 | 10.1% |
セーブ | 126 | 27.1% |
ポスト直撃 | 8 | 1.7% |
ブロックされる | 130 | 27.8% |
ミスショット | 155 | 33.2% |
計 | 466 | 100.0% |
GKセーブ率 (全選手平均) | 72.8% |
チームごとのシュート数や成功率
チーム名 | 試合数 | シュート 総数 | ゴール数 | シュート 成功率 |
---|---|---|---|---|
東京FBC | 2 | 103 | 11 | 10.7% |
神奈川FBC | 2 | 110 | 6 | 5.5% |
八王子FBC | 2 | 48 | 7 | 14.6% |
横浜FBC | 2 | 69 | 12 | 17.4% |
山形FBC | 1 | 42 | 4 | 9.5% |
駿河台大学 | 1 | 44 | 3 | 6.8% |
FC道場 | 1 | 33 | 2 | 6.1% |
仙台大学 | 1 | 17 | 2 | 11.8% |
計 | 466 | 47 | 10.1% |
これまで行われた6試合、8チームによるシュート関連統計です。シュート総数466本に対し生まれたゴール数は47ゴール。
全体でのシュート成功率は10.1%で、1試合平均7.8ゴール(1チーム3.9ゴール)/77.6シュート(38.8シュート)となります。
エリア別統計
どのエリアからのゴールが決まったか
全チーム計 | シュート 総数 | ゴール数 | ゴール 成功率 | ゴール 分布 |
---|---|---|---|---|
1.左ゴール前 | 25 | 9 | 36% | 19% |
2.右ゴール前 | 22 | 6 | 27% | 13% |
3.左スロット | 54 | 4 | 7% | 9% |
4.右スロット | 62 | 10 | 16% | 21% |
5.左コーナー | 28 | 2 | 7% | 4% |
6.右コーナー | 20 | 0 | 0% | 0% |
7.左ポケット | 73 | 4 | 5% | 9% |
8.右ポケット | 49 | 5 | 10% | 11% |
9.左レーン | 22 | 0 | 0% | 0% |
10.右レーン | 17 | 1 | 6% | 2% |
11.左センター | 49 | 5 | 10% | 11% |
12.右センター | 45 | 1 | 2% | 2% |
計 | 466 | 47 | 10.1% | 100% |
各エリア毎に放たれたシュート数と、生まれたゴールの分布です。
危険エリアと呼ばれるスロットでのゴール発生割合は全体の61.7%となり、IFFHPに掲載の統計数値64%に肉薄する結果となりました。
本統計は試合の母数が少ない(選手権6試合に対してWFCは48試合)ので、マッチメイクにより大きくブレる可能性はありますが、現段階で同じ傾向が得られています。
シュートを打つエリアでの結果の違い
エリア | シュート 総数 | ゴール数 | セーブ | ポスト | ブロック | ミス | ゴール 到達 | ゴール 未達 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.左ゴール前 | 25 | 9 (36%) | 9 (36%) | 1 (4%) | 1 (4%) | 5 (20%) | 76% | 24% |
2.右ゴール前 | 22 | 6 (27%) | 11 (50%) | 1 (5%) | 0 | 4 (18%) | 82% | 18% |
3.左スロット | 54 | 4 (7%) | 14 (26%) | 1 (2%) | 15 (28%) | 20 (37%) | 35% | 65% |
4.右スロット | 62 | 10 (16%) | 25 (40%) | 0 | 10 (16%) | 17 (27%) | 56% | 44% |
5.左コーナー | 28 | 2 (7%) | 5 (18%) | 0 | 6 (21%) | 15 (54%) | 25% | 75% |
6.右コーナー | 20 | 0 | 5 (25%) | 1 (5%) | 7 (35%) | 7 (35%) | 30% | 70% |
7.左ポケット | 73 | 4 (5%) | 13 (18%) | 2 (3%) | 27 (37%) | 27 (37%) | 26% | 74% |
8.右ポケット | 49 | 5 (10%) | 14 (29%) | 1 (2%) | 11 (22%) | 18 (37%) | 41% | 59% |
9.左レーン | 22 | 0 | 8 (36%) | 0 | 9 (41%) | 5 (23%) | 36% | 64% |
10.右レーン | 17 | 1 (6%) | 4 (24%) | 0 | 7 (41%) | 5 (29%) | 30% | 70% |
11.左センター | 49 | 5 (10%) | 6 (12%) | 0 | 23 (47%) | 15 (31%) | 22% | 78% |
12.右センター | 45 | 1 (2%) | 12 (27%) | 1 (2%) | 14 (31%) | 17 (38%) | 31% | 69% |
計 | 466 | (10.1%) | 47(27.1%) | 126(1.7%) | 8(27.8%) | 130(33.2%) | 15539% | 61% |
各エリアから放たれたシュートの行方に関する統計です。
補足すると、【ゴール到達】はゴール数+セーブ数+ポスト数での集計です。【ブロック】はシュートブロックを受けゴール方面へ飛ばなかった場合。【ミス】は枠外シュートや、技術的なシュートミス(シュート体勢に入れたが、ボールが抜けた等)の数字です。ボレーなどを空振りした場合はシュート数に含めていません。
比較するものがなく、このデータの見方がわからないのですが、シュートはゴールへ到達させることが大事であって、ゴール未達(ブロックやミス)はカウンターを受ける可能性がある所、いかにして数字を向上させるか。
ブロックやミスのリスクが高いエリアから不用意にシュートを放つのではなく、ゴールへ届きやすいエリアからのシュートをいかにして増やすか。もしくは、ブロックを受ける可能性が高いエリアで、どのようなシュート種を選択するべきか。
感覚的に選手は知っていることを、数字で見える化して、チーム毎・選手毎に統計を取って分析を行うことは、競技スポーツに大切なことだと思っています。
シュート種別によるデータ
どのシュートがゴールを決めやすいか
シュート種 | シュート数 | ゴール | セーブ | ブロック | ミス | ポスト | ゴール (%) | セーブ (%) | ブロック (%) | ミス (%) | ポスト (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リスト | 137 | 15 | 43 | 33 | 45 | 1 | 11% | 31% | 24% | 33% | 1% |
ドラッグ | 213 | 16 | 57 | 80 | 57 | 3 | 8% | 27% | 38% | 27% | 1% |
スラップ | 78 | 8 | 14 | 16 | 38 | 2 | 10% | 18% | 21% | 49% | 3% |
ボレー | 16 | 2 | 4 | 1 | 8 | 1 | 13% | 25% | 6% | 50% | 6% |
OG | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100% | / | / | / | / |
リバウンド | 8 | 3 | 2 | 0 | 3 | 0 | 38% | 25% | 0% | 38% | 0% |
流し込む | 10 | 0 | 6 | 0 | 3 | 1 | 0% | 60% | 0% | 30% | 10% |
裏から 巻き込む | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 67% | 0% | 0% | 33% | 0% |
ゾロ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | – | – | – | – | – |
PS | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | – | – | – | – | – |
計 | 466 | 47 | 126 | 130 | 155 | 8 | 10% | 27% | 28% | 33% | 2% |
一般的に使われるシュートは、リスト・ドラッグ・スラップの3種ですが、それに加えて、それでは分類しづらいシュートたちも細分化して調査してみました。
例えば、ゴール裏からポストに巻き込むように放つシュートに専用の項目を立ててみたり、片手でちょんと触るようなシュートは【流し込む】として項目立てしてみました。
結果として、狙っていたデータは得られなかったのですが、傾向として、スラップシュートやボレーなど技術を要するシュートはミスが多くなったり(母数は少ないのでぶれそうですが)、ドラッグシュートはブロックされる割合がわずかに高い(シュートモーションがコート中央に侵入することが多かったり、シュートまでに時間がかかるから?)ことが見えます。
お後、感覚的ですが、リバウンドの試行回数や、海外でよく見られるゴール真横で流し込むシュート(ボレーorディフレィクション)の試行回数は非常に少ないように思えました。
トランジション
攻撃フェイズによるゴール数の違い
フェイズ | シュート数 | 分布 | ゴール数 | 分布 | シュート 成功率 |
---|---|---|---|---|---|
セットオフェンス | 240 | 52% | 30 | 64% | 13% |
オフェンス トランジション | 164 | 35% | 14 | 30% | 9% |
セットプレイ | 62 | 13% | 3 | 6% | 5% |
466 | 100% | 47 | 100% | 10% |
妥協の統計です。後から思う作るべきだったことは、そもそも攻撃フェイズが(セットオフェンス、トランジション別に)何回あって、そのうち何本シュートが打てたのか?をチームごとに調べたかったのですが、骨が折れる作業だったので、断念しました。
オフェンストランジションは、相手からボールを奪った後の攻撃へ転じるフェイズのことで、この統計上では、相手陣形が整う前にシュートを打った本数のこと(ざっくり言えばカウンターアタック)として項目立てしたものです。
セットオフェンスは、この統計上では、自陣でビルドアップから敵陣でのフィニッシュまでの流れを指しており、上記カウンターアタックとは異なるものとして項目立てしたものです。
また、本データ作成前は、トランジション時の得点数が多い!と予想し、そんなデータを期待していたのですが、思っていたデータを得られませんでした。
おわりに
素人集計となりますのでご了承下さい。
何をシュートとみなすのか、エリアをどのように判断するのか、シュートの種別判断は、、、等、様々な事柄の処理によって、出力されるデータは異なります。
不完全なものですし、諸々あるので、ご参考程度まで全チーム合同データのみを掲載してみました。個人や個別チームに関しては控えます。
ファンや選手目線での理想は、こういう系のデータ(大会全体、チーム別、個人別)が日本連盟のサイトなどで、試合結果と同時に閲覧ができる状態だと思います。集計・収集フェチとしてはなんだか楽しいんですよね。実現できないものでしょうか。
コメント
コメント一覧 (2件)
Fans.さん すごーい、ちょっと感動!! 3/5さらに楽しみになりました。
左レーン、右コーナーからシュート打って軽々セーブ
されている中学生にこのDate、Feedbackします!
軽々セーブされないよう、ゴール前にブラインド、リバウンド役がいたりすると、全く違うのでしょうね!
特にハーフライン付近からのシュートで、直接的にゴールに結びついたものがほとんどなかったです。
間接的には、ディフェンスを引きつけポケットを広げる影響もありそうですが、効果を測りづらいし、それを狙っているようには見えないので、なんとも言えません。