はじめに
先日27日に行われた、チャンピオンズカップ予選(Storvreta-Classic戦)での一幕。
下記動画・画像ですが、パスを出そうとしたClassic側(赤丸)のスティックが折れてしまった場面です。
早速ですが、ここでいくつか問いかけを。
現役の方だと即答でしょうか。
Q…自身のスティックが折れ、破片がリンク内に。プレーが続いている場合、これらの行動はルール上問題ないか。
【Case1】折れた破片を拾わずベンチへ戻り、別のスティックでプレーを再開した。
【Case2】別のチームメイトが破片を拾い、リンク外へ取り除いた。
【Case3】誰も拾わずに、プレーを継続し続けた。
ちなみに私は試合中にスティックが折れた記憶はありません。
なので、自分に起きた場合を想像してみると、一目散に破片を拾いに行ってベンチに戻るかなぁと。
加えて、以下の動きはルール上どう扱われるでしょうか。
【Case4】スティックが破損したため、拾いに行かずベンチに戻る最中に、プレー中のボールに接触してしまった。
【Case5】<審判の行動>誰も拾わないので、安全面を考え、審判がコート外へ取り除いた。
今回、相当ニッチなネタですが、試合観戦しながら、『スティックが折れてしまった選手の責務はなんだろう?』という個人的な疑問を解消すべく、記事作成いたしました。
ADAM HEMERKAの判断
◆プレー全体版
実際に起きたシーンを振り返ります。
スティックの折れたAdam Hemerka選手。
その近くには”折れた破片”が。
折れた破片は認知できそうな距離感です。
ただボールは相手チームに渡り、大ピンチ。
Adam Hemerka選手の判断は…
直ちにベンチへ帰還!
なんなら、シュート前後の選手の前を、ものすごい勢いで通過します。
あれこれ、拾わないでいいのかな?
このボールにぶつかると反則にもなる?
結局、無事にベンチへ下がり、別の選手がコートへ入りました。
取り残される破片
最初のシーンは試合時間5:07時点です。
次の画像は5:26時点なので、20秒経過後の様子です。
その後プレーも途切れず、赤チームが攻撃を仕掛けている場面。
折れたスティック、気になります。
ですが華麗にそのエリアを避け、攻撃を続けます。
踏みそうで心配だなぁ。
なんとか守りきった青チームが、
負けずにこっちもカウンターじゃい!
って、一斉に走り出します。
そこにいるのに無視される破片。なんだか疎外感。
いよいよ誰が拾うんだろうと期待していたら、審判が拾っていました。
ここまで約30秒ほどの出来事で、以後何事もなくプレーは継続していくのでした。
選手が拾わなくて良かったのかな、と。
競技ルールを確認する
いくつか思った疑問を解消すべく、ルールブックを確認してみますと、ペナルティの項目に折れたスティックに関する記述がありました。
◆2022年ルール(最新版)
マイナーベンチペナルティが科される反則
24)審判員からの勧告にもかかわらず、選手が折れたスティックをリンクから拾い上げることを怠った場合。
次の中断時に、スティックを折った選手が責任をもって引き取る。ただし、ゲームに参加している者は、プレイ中であっても、折れたスティックを安全かつ確実にリンクから取り除くことができる。
『次の中断時に、スティックを折った選手が責任をもって引き取る』必要があります。
”次の中断時”というタイムリミット規定は、2022年に改正され追記されたルールのようです。
◆2018年の旧ルール※現在なし
2分間のベンチペナルティーにつながる反則
10) フィールドプレーヤーが、折れたり落としたりしたスティックをリンクから拾い上げず、交代ゾーンに持ち込まなかった場合。スティックが明らかに見える部分をプレーヤーが取り除かなければならない。
10) When a field player omits to pick up his broken or dropped stick from the rink and bring it to his substitution zone.Only clearly visible parts of the stick have to be removed by the player.
引用:IFF :Rules of the Game – Rules & Interpretations(2018)/訳は当サイトによる
2018年ルールと比較すると、書きぶりが大きく変わっていますね。
なるほど、”折れたら直ちに拾わなければならない!”と思った私は、情報のアップデートができていなかったようです。
審判にも聞いてみよう
私はルール素人なので、国際大会での審判経験もある岡野栄三郎さんにお話を聞いてみました。
僕で良ければ!
【状況】スティックが折れ、破片がリンク内に。プレーは続いている場合、これらの行動はルール上問題ないか。
【Case1】折れた破片を拾わずベンチへ戻り、別のスティックでプレーを再開した。
【Case2】別のチームメイトが破片を拾い、リンク外へ取り除いた。
【Case3】誰も拾わずに、プレーを継続し続けた。
【Case4】スティックが破損したため、拾いに行かずベンチに戻る最中に、プレー中のボールに接触してしまった。
【Case5】<審判の行動>誰も拾わないので、安全面を考え、審判がコート外へ取り除いた。
今回のように、折れた破片を拾わずベンチへ戻ったり、そのままチームがプレーを継続するのは問題ないんですかね?
はい、海外であれだけ試合スピードが速いと、破片を拾うチャンスがないと思うので、そのまま放置してプレーを継続することは考えられますね。
スティックの回収は、1つのプレーが中断してからタイムして拾うか、動画のとおりレフリーが拾うタイミングあれば良いかなと考えますね。
なるほどです。ちなみに、スティックが破損したり、落としたときに、プレー中のボールに接触してしまうと反則になりますか?
ルールにもありますが、基本的にスティックを持っていなければ、 プレー出来ないのと同じ事です。(※下記ルール参照)
今回のケースのように、ベンチへ戻る最中にボールが当たった場合、それが故意に当たったものならペナルティになりますし、故意でなければプレーは継続されると思います!
◆2022年ルール(最新版)
マイナーベンチペナルティが科される反則
8) フィールドプレイヤーがスティックを持たずにプレイに参加した場合。(特定の反則サインなし)
リンク上にスティックを落とした選手が、それを拾わずに交代した場合も含む。一時的にフィールドプレイヤーとみなされているゴールキーパーには適用されない。
なるほど!反則に該当するかどうかは、審判の見極めということなんですね。
おわりに
だいぶ、ニッチな内容ではありますが、試合観戦で気になり記事作成まで行いました。
スティックが折れる機会は少ないでしょうが、その場合のルールについて予め知っておくと、いつかどこかで役に立つかもしれません。
個人的には、余裕があるならすぐ拾うべきだと思っていましたが、海外では絶妙なバランスの上で試合が成り立っているようです。
雑談
ちょうど27日には、同じくチャンピオンズカップのFalun-Classic戦が行われており、同様にスティックが折れた選手がいます。
折れたスティックを拾いに行く/探す素振りを一瞬見せたところ、彼は拾いに行くタイプの選手ですかね。
もしくは、折れたのに気づかず、攻撃の準備?
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